SSブログ
甘くて懐かしいお菓子たち ブログトップ

世界で笑顔を育てる和菓子の人(4)「体にいいから食べなさい」が聞きたい [甘くて懐かしいお菓子たち]

世界で笑顔を育てる和菓子の人

(4)「体にいいから食べなさい」が聞きたい

前回、岡萬本舗店主・岡田健次さんは、農業振興を通して
世界に笑顔の輪を広げていると紹介しました。

もちろん、もっと身近なところで“鳴門金時おいもの親子”を
はじめとした本業の和菓子づくりでも、みんなの“笑顔”につながる努力を惜しみません。

「とにかく、和菓子でも洋菓子でもシンプル・イズ・ベストだと思っています。
甘味にしても原料にしても、自然のものを使いたいんです。
そのかわりに手間暇をしっかりかければいいんですよ」。

前回、触れた海外でのサトウキビ栽培や、なると金時づくりも、
自然な材料でつくったお菓子をみんなに食べてもらいたいという
気持ちが根っこになっているのです。

「今、普通に流通している砂糖が気に入らないんです。
私は、県内で和三盆糖を手作りしている先から、砂糖を分けてもらっています」。

しかし、その生産量が現在、徐々に減り始めているそうです。
そこで今後も納得できる砂糖を手に入れるため、
自らサトウキビ生産に取り組んだのだといいます。

そうまでして自然の素材を手に入れたいと考えるのには、
岡田さんの深いこだわりがあります。
「お母さんが、子どもたちに『虫歯になるからやめなさい』とか
『そんなものばかり食べていたら体を壊すわよ』とか言うのを聞くと、
お菓子をつくる立場にいる者としてはしんどいです。

だから私は『このお菓子は体にいいから食べなさい』
『糖尿病にも悪くないから食べてください』
と言われるようなお菓子をつくりたいんです」。

岡田さんは、その目標に向かって、和菓子づくりに、
材料選びに、そして原料を育てるための農業に、
正面から向き合っています。

(世界で笑顔を育てる和菓子の人・おわり)

取材協力:岡萬本舗

HPアドレス:http://www.okaman-honpo.com

風土菓 岡萬本舗


一言編集後記
「なぜ、そうなるのか?」の気持ちをそのままにしない人。
これが岡田健次さんの印象です。疑問に思ったことは、
時間をかけてもとことんやる。そんな強い信念の人です。
インドネシアで現地の人たちとコミュニケーションするために、
50歳を過ぎて2ヵ月間寝る間も惜しんでインドネシア語を勉強したそうで、
今では、ほとんどネイティブの域に達しているとか。
脱帽ついでに、ひとつお願いを思いつきました。
「酒飲みは甘いモノが苦手」という、ひとつのセオリーがあります。
そこで、情留酒に合う、和菓子をつくってほしいのですが、
いかがでしょうか?(スタッフi)


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:グルメ・料理

世界で笑顔を育てる和菓子の人(3)農業を通して世界で笑顔の栽培 [甘くて懐かしいお菓子たち]

世界で笑顔を育てる和菓子の人

(3)農業を通して世界で笑顔の栽培


↑岡萬本舗・店主の岡田健次さん

徳島産の“なると金時”が原料という“鳴門金時おいもの親子”を
いただきながら「やっぱり、なると金時は世界一のお芋なのだ」
という思いを強めていた時、
突然、店主の岡田健次さんがこう切り出しました。

「うちのお菓子は、確かに鳴門の芋しか使っていません。
それは芋本来の魅力もありますが、農家のチカラ、
日本の農業技術あっての、なると金時だと思うからなんですよ」。

そんな岡田さんは、現在インドネシアで、なると金時の栽培に取り組んでいるそうです。

「最初は、お菓子の原料である砂糖をつくるため、
サトウキビを育てたいと思ったんです。合成した甘味ではなくて、
自然の素材を求めたんです。でも、サトウキビは本格的に収穫し
精糖できるようになるまで、4〜5年ほどかかるんですね。
そのことを現地の人たちに話すと、すぐに収穫できる作物も
育てたいんだけどって言うんです。
それちょうど、なると金時の苗があるから、
これを育ててみればいいと譲ったんです」。

地元にも、特産のジャガイモがあったそうですが、
なると金時のような甘い芋ではないといいます。
そうして、苗を植え、育て始めたものの当初はうまくいかなかったそうです。

平地はもちろん海の近くや、海砂を入れた畑を作っても
やっぱりうまく育たなかったといいます。

「原因は気温にあったんです。昼と夜の温度差が10度くらい
ないとなると金時は大きく、おいしく育たないんです。
たとえば鳴門の海岸沿いは日中35度を超えていても、
夜には25度くらいまで下がるんです。下がりすぎてもいけない。

15度以下になると芋が風邪を引いて腐ってしまうんです。
そういうことを日本の農家は研究して、技術として身につけています。
世界では土地はあるけれど、そういった面での知識に乏しい面もあるんです」。

現在、岡田さんは現地の人たちと協力して、昼と夜の温度差のある
標高800m付近の高地で、徳島から持ち込んだなると金時の苗を育てています。

「優れた苗をつくるためのバイオ技術、安定した収穫を得る水耕栽培をはじめ、
日本の農業技術をもっと世界に伝えるべきなんです。
そこに日本の農業の未来があるような気がしますよ」。

いつのまにかグローバルなお話になっていましたが、実際に、
岡田さんは海外での農業振興を通して、たくさんの笑顔を育てているのです。


↑インドネシアでの農作業風景(参考写真)

(次回へ、つづく)

取材協力:岡萬本舗
HPアドレス:http://www.okaman-honpo.com

風土菓 岡萬本舗



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:グルメ・料理

世界で笑顔を育てる和菓子の人(2)銘菓のモチーフは藤の花 [甘くて懐かしいお菓子たち]

世界で笑顔を育てる和菓子の人

(2)2度熱を加えることで、甘みが出る

取材中「まぁ、お茶でもどうぞ」と、岡萬本舗店主・岡田健次さんが
すすめてくれたのは焼き芋にそっくりの饅頭菓子でした。

菓子盆に入れられたその和菓子は、よく見れば大小2つ。
「これは当店の商品の中でも人気が高い“鳴門金時おいもの親子”です」。

小さいほうをいただき半分に割ると、焼き芋そのままに小気味良く破れる皮の下には、
ホクホクとした餡が詰まっています。

口に入れるとしっとりとした中にもホロホロとこぼれる感じといい、
こうばしくやさしい甘みといい、まさに焼き芋。
そして…??? これはココア? 「子芋はココア風味、大きい方の
親芋はシナモン風味で仕上げとるんです。
どちらもなると金時のうま味を引き出すのにとても相性がええんでよ」。

確かに、これは、ハグハグ…うまい。
「これがでけるまでには、結構苦労しました。
焼き芋のポロッとこぼれる感じがなかなか出せなかったんです」。
その答えは2度焼きにあったそうです。

一度加熱したそれぞれの材料を一度冷やし、あらためて材料を合わせて
もう一度焼くといったことだったそうです。
ちょっとしたアイデアなのかもしれませんが、いつも「なると金時」
「和菓子」のことを考えているからこそ生まれた発想なのでしょう。

それは、家庭で焼き芋をおいしく仕上げるコツを教えてくれたことでも分かります。
「なると金時で焼き芋をつくる時も2度焼きがおいしいんでよ。
なると金時の甘みは、生のうちは真ん中あたりにはあるんだけど、
皮に近い外側には少ないんです。

ラップをして3分ほど電子レンジにかけ、冷ましたものを今度は
オーブンかトースターで焼いてやると全体が甘い焼き芋に仕上がるんです」。
読者の皆さん、ぜひお試しになってはいかがですか? 
さて、次回はそんな岡田さんに、なると金時への思い、
お菓子づくりでの発想法などについて聞きます。

(次回へ、つづく)

取材協力:岡萬本舗
HPアドレス:http://www.okaman-honpo.com

風土菓 岡萬本舗



一言編集後記
ん〜。こんな素敵なお菓子(おいもの親子のこと)
があるとは、全然知りませんでした。
ふじ餅しか眼中になかったんです。
店内をよく見ると、他にもたくさんの種類のお菓子が!
これからは、ふじ餅だけじゃなくて
いろいろ買わさせていただこうと思います。
(スタッフm)





nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:グルメ・料理

世界で笑顔を育てる和菓子の人(1)銘菓のモチーフは藤の花 [甘くて懐かしいお菓子たち]

世界で笑顔を育てる和菓子の人

(1)銘菓のモチーフは藤の花


地福寺(徳島県石井町石井)

徳島県石井町石井にある地福寺の境内は、4月下旬から5月上旬にかけて、
薄紫色の藤の花の甘い香りに満たされます。
その地福寺の国道192号を挟んだ南隣で、100年余りの歴史を重ねてきた
和菓子の老舗が、明治35(1902)年創業の“風土菓 岡萬本舗”です。

名物は、地福寺境内を彩る藤の花に見立てた“か津らふぢ餅”。
店主の岡田健次さんが境内の藤と銘菓の歴史を話してくれました。

「寛政年間(1789〜1801)に、当時の住職だった隆淳上人さんが
植えた一株の藤樹が始まりと言われとります。

200平方メートル余りの藤棚に、毎年人の背丈を超える薄紫色の藤の花が
垂れ下がる風景は、地域に住む私らの誇りになっています。

当店は、創業の頃から山門の前で、参拝客やお遍路さんに“お接待”を
させていただいていたのですが、その際のお茶請けとして生まれたのが、
ふじ餅なんですわ」。

“か津らふぢ餅”は、もち米と和三盆を使ったやわらかな和菓子で、
藤の花色は鹿児島産紫芋で着色されています。
見た目の美しさや、ほんのり甘くモチモチとした食感だけでなく、
防腐剤や酵素剤が添加されていない安心の阿波銘菓として、
多くのファンに長く愛されています。


か津らふぢ餅

ところで着色に紫芋が使われていると書きましたが、もちろん、
なると金時が主役の和菓子もちゃんと作られています。

その名は“鳴門金時おいもの親子”。
ネーミングにほのぼのとしたものを感じるこの銘菓については、
次回詳しくご紹介します。

(次回へ、つづく)

取材協力:岡萬本舗
HPアドレス:http://www.okaman-honpo.com

風土菓 岡萬本舗


一言編集後記
岡萬さんの“ふじ餅”は小さい頃から、
食べ親しんできたお菓子の代表選手。
国府町、石井町近辺の方なら「そうそう」と
頷いてもらえるのでは?
(スタッフm)


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:グルメ・料理

銘菓を支える鳴門金時-【第3話】芋菓子職人三代を魅了した鳴門金時- [甘くて懐かしいお菓子たち]

●期間限定には、変わらぬ味を届けるため。

看板商品の代表格『鳴門うず芋』の販売は、
9月から4月までの期間限定となっています。
それは各家庭はもちろん商店にも冷蔵庫があまり普及していなかった創業当時、
夏の暑さで芋の表面にまぶした砂糖が溶けてしまうのを嫌ったからだそうです。
「今は、どこのご家庭にも性能のいい冷蔵庫やクーラーがそろっていますから、
販売できないわけではないでしょう。
それでも万が一ということもあります。
せっかく心を込めて手作りした『鳴門うず芋』の風味や舌触りが変わってしまっては、
お客様にも、初代の心に申し訳が立ちません」と、
三代目・栗尾実太郎さんは言います。

『鳴門うず芋』を楽しみに待ってくれるお客さんの気持ちを一番に考えること。
鳴門金時という類い希(たぐいまれ)な旨いサツマイモに真剣に取り組むこと。
期間限定には、そんな創業以来の芋菓子職人の心が伝統として伝えられているのです。
ところで、鳴門金時に真剣に向き合うというのは、
原料を大切に扱うというだけではありません。
最高の鳴門金時の中から『鳴門うず芋』に最も適したサイズを選び、
必要な量を確保することも欠かせません。何にでも言えることですが、
いいものは手に入りにくいのが世の常…。


●これからも鳴門金時一筋です。

「うちは鳴門金時の女王と呼ばれる姿、形、味わいの三拍子が
そろった『里むすめ』を使っています。この芋を仕入れることが何より難題です」。
サツマイモのブランドが各種ある中で、鳴門金時の人気は高く、
その中でも鳴門市里浦産の『里むすめ』は入手困難ブランドの筆頭と言って
差し支えないでしょう。また、目の前にあったとしても、
我々一般消費者からすると、ちょっと躊躇(ちゅうちょ)してしまいそうな価格
だったりします。「だからといって、原料を変えることはできません。
お客様の舌にも、創業以来の伝統にも嘘はつけませんからね(笑)」。

しかも農産物だけに、豊作もあれば不作の年もあるわけです。
気になって、インターネットで鳴門金時の価格を調べてみると、
「時価」と表示されているサイトの多いことに気づきました。
その年、その時期によって価格がかなり変動することは、
容易に察しが付きます。仕入れ値が高くても材料は変えられない。
仕入れる量も生産卸売り業という栗尾商店の業種上、
変えることはできないそうです。「だから、うちは儲からないですよ(笑)。
毎年、鳴門金時の出来具合に冷や冷やさせられています」と栗尾さん。
それでもなお、三代にわたり芋菓子職人を魅了してやまないのが、
鳴門金時という徳島が生んだブランド芋のチカラなのです。
お土産にいただいた『鳴門うず芋』は、サクリとして中身まろやか。
相伝の蜜の優しい甘みとともに、三代の思いが深い味わいとなって、
ゆっくりと舌の上に広がっていくのを心地よく感じました。

(銘菓を支える鳴門金時・おわり)


上記、栗尾商店様の商品の一部です。
詳しくは下記HPよりご覧下さい。

取材協力:有限会社栗尾商店 http://www.kurio.jp/

一言編集後記:

今日で有限会社栗尾商店さんの投稿記事は、一旦終了。
次回は、「美味しくいただくレシピ集」の予定です。
実はコレ。三代目・栗尾専務に教わったレシピです!
乞うご期待!

※※最新情報※※
何とあの「本格焼酎(情留酒) 鳴門金時 焼き芋」が復活するとのこと。
4月2日初出荷、店頭販売日は4月5日の予定。

鳴門金時蒸留所:URL http://www.nkj.cc/
オンライン購入ページ:http://www.nkj.cc/09_buyitnow.html


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:グルメ・料理

銘菓を支える鳴門金時-【第2話】手切りと蜜床は変えられない- [甘くて懐かしいお菓子たち]

●包丁を使う大切な理由があります。


『鳴門うず芋』の1日の生産数は2000個ほどで、使う鳴門金時は約700kg。
見ての通り、製品は輪切りにされています。
そのため、よく育った2Lサイズの大きめのものを厳選しているそうです。
さて驚いたことに、栗尾商店では、これだけの量の鳴門金時を相手に、
すべて包丁を使った手切りによる製法で臨み続けているといいます。

「スライサーなどの機械を使えば、なんてことはない量かもしれませんが、
硬い生の芋を人の手で切るとなると、かなり大変なんです。
でも手切りした方が、間違いなく味がいいんです。その理由が知りたくて
専門の機関で調べてもらいました。スライサーを使用した場合、
切り口の断面がツルンとしているのに対して、包丁を使うと
ノコギリで挽(ひ)いたように、ギザギザなんです。
当然、蜜が絡みやすく、それだけうま味が乗るんです」と、
栗尾実太郎さんは手切りへのこだわりの理由を話してくれました。


●受け継がれてきた家宝の蜜床。


↑家宝の蜜が、たっぷり入った蜜床。画像右の穴がたくさんある
ボックスの中に鳴門金時が入っています。

もう一つ、栗尾商店の芋菓子作りに欠くことの出来ない秘伝の技があります。
創業者の常一さんが仕込んで以来、守り続けてきた家宝とも言うべき蜜床です。
簡単に『鳴門うず芋』ができるまでを見ていくと、まず手間暇をかけて
輪切りにした鳴門金時は、一晩、剣山の湧き水にさらしてアクを抜きます。
これを蒸して蜜床に付け、最後に砂糖をまぶせば『鳴門うず芋』の完成です。
この行程の中で、蒸した芋を蜜床につけるたび、当然蜜は減っていきます。

「蒸した芋が吸った分だけ、継ぎ足して蜜床を守ってきました。
この蜜床だからこそ、鳴門金時が持っている本来のおいしさを、最大限に
引き出すことができるんです」
鳴門金時に惚れ込み、そのチカラをとことん引き出す──。そのためには、
時間も労もいとわず、原料を厳選し、手間をかけ、蜜床を守ってきた栗尾商店。
すべては、鳴門金時をおいしく食べてもらいたいからに違いありません。

(第3話へ続く)



取材協力:有限会社栗尾商店 http://www.kurio.jp/

一言編集後記:
今週のアップはすっかり遅くなってしまって(汗)すいませんでした。
そうそう本日の記事でご紹介させていただいております『鳴門うず芋』。
帰りに一袋頂いたんです。私が食べれたのはほんの少しだったのですが、
(私のいない隙に家族が勝手に食べていた!)本カテゴリー名の通り、
甘くそして懐かしい味でした。こんな美味しいお菓子を、伝統をかたくなに
守り、伝え、作り続けられている栗尾商店さん並びに職人さんたちに、
改めて"ありがとう"と言いたいですね。


ところで、2月もあと残すところ10日あまり。
時間の経つのは早いですね〜。
(私だけかも知れませんが・・・)
ときには、一杯、鳴門金時蒸留所の本格焼酎
『情留酒 鳴門金時』でも飲みながら、
ゆっくり本ブログにコメントなど
書いてみてはいかがですか?
初コメントは一体どんな方か、
首を長〜くしてお待ちしております。
(水口)



鳴門金時蒸留所様:URL http://www.nkj.cc/
オンライン購入ページ:http://www.nkj.cc/09_buyitnow.html


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:グルメ・料理

銘菓を支える鳴門金時-【第1話】創業以来こだわり続けた菓子の味- [甘くて懐かしいお菓子たち]

●八十年近い歴史の中で守り続けた味

焼いて、蒸(ふ)かして、そのままかじりつくだけで、
蒸(む)れて香ばしい濃厚な香りが広がる鳴門金時。
舌の上には、優しく深い甘みが幾重にも折り重なっていきます。

そんな徳島のブランド芋・鳴門金時の中でも、
最高級品と言われるのが鳴門市里浦産鳴門金時『里むすめ』。
そこからさらに厳選した芋だけを原料につくられているのが、
阿波の芋菓子の老舗、栗尾商店の銘菓『鳴門うず芋』です。

栗尾商店が、徳島県つるぎ町(旧貞光町)で、
和菓子屋ののれんを掲げたのは昭和4年(1929年)のこと。
以来、約80年わたり変わらぬ味で多くのファンを魅了する
『鳴門うず芋』をはじめ、手作りの和菓子をつくり続けています。


●初代菓子職人が惚れ込んだ芋

「先々代(栗尾常一さん)は、僕のおじいさんですが、
農家の長男として生まれたそうです。
菓子職人にあこがれたのでしょうか、
長いこと地元の和菓子屋さんで奉公し、苦労の末に
自分のお店、今の栗尾商店を立ち上げたと聞いています」と、
現在三代目を目指し伝統の技を受け継ぐ栗尾実太郎さん。

創業時、常一さんは県外に向け鳴門金時の積み出しが行われていた
鳴門市の撫養港まで足を運び、原料を仕入れていたと言います。
味はもちろん、赤い外皮、鮮やかな黄色い実、カタチの良さなど、
鳴門金時の魅力に惚れ込んでいたことは容易に想像がつきます。
ところで当時は、まだ鳴門金時の名は無く、撫養港から運び出される
芋であることから『撫養芋』と呼ばれていたそうです。

およそ80年の時を経て、現在口にする『鳴門うず芋』の味には、
撫養芋と呼ばれた時代そのままの優しい甘さに加え、
芋に絡める秘伝の蜜が生む奥深く豊かな風味が、
変わることなく受け継がれています。
表面はサクッと軽い歯ごたえがあり、中身はしっとり上品な食感。
次回は、その製法へのこだわりを紹介します。

(第2話へ続く)


取材協力:有限会社栗尾商店 http://www.kurio.jp/

一言編集後記:
取材に対応して頂いたのは、栗尾実太郎専務。
取材のご協力誠にありがとうございました。
知らないことばかりで、いろいろ驚かされっぱなしだったのですが、
一番驚いたのは、栗尾専務が、当ブログのライター兼
鳴門金時普及委員会(仮)会長と高校の同級生であったこと。
世間は狭い!
今後とも宜しくお願いします。
(水口)


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:グルメ・料理
甘くて懐かしいお菓子たち ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。