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芋畑から【第3話】ブランド芋『鳴門金時』生産農家〜林正史さん〜(後編) [芋作りのプロフェッショナル]

●農家の愛情が女王を育てるのです。



収穫された鳴門金時は低温で約2ヶ月ほど寝かせることで、成熟が進み、
いっそう甘みやうま味に深さが生まれ、色つやが良くなるのだそうです。
「出荷した鳴門金時は、そのまま店頭に並ぶこともあるでしょうし、料理やお菓子、
焼酎の原料となって、食卓に届けられるものもあるでしょう。
どういうカタチにせよ、皆さんに美味しいって喜んでもらえたら、それが一番やね」。

林さん親子が鳴門金時を収穫している畑でお話を聞いていると、
近所に住む藤原さんとおっしゃる女性が焼き芋にした鳴門金時を持ってやってきました。
そうして「少し休んで、お茶にしませんか?」と誘ってくれます。
お礼を言いながら、藤原さんが手にしたお盆に目をやると、
焼き芋と熱いお茶、それと牛乳が乗っていました。



●鳴門金時と牛乳のあま〜い関係。



「焼き芋には、ほんま牛乳がようあうんでよ。まぁ、ためしにやってみてください」
と言う藤原さんのそばで、林さん親子も笑顔ですすめてくれます。畑の隅に腰をおろし、
アツアツの焼き芋をパカリと割る。香ばしく蒸れた甘い湯気が食欲をそそります。
一口かじると、それは高価な和菓子のようで、同時に混じりっけのない自然の滋味が
記憶の奥にじんわりと染みこんでいくのを感じました。

ハフハフと熱い芋を舌で転がしながら、冷たい牛乳を流し込んでみました。
それまで体験したことのない、優しい甘みが口の中、舌の上を薄く柔らかく包み込んで、
しっとり溶けていく。こんな幸せが、すぐそばにあったとは…。
うっとりしながらもお礼を言おうと目を上げると、額の汗をタオルでぬぐい、
いとおしげに、手にした鳴門金時を見ている正史さんの姿がありました。
ふるさとが誇るブランド芋『鳴門金時』は、これから先もずっと女王で
ありつづけるに違いない──と、確信することができました。

(芋畑から〜終わり)



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